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それからもう一つ。大富豪から言われた言葉があった。

私たちは初日の夜遅くまで議論していた。

何についての議論だったかといえば、海外留学を志している女の子(私の親友の友人)がいて、その子が留学のための資金を親に出してもらうか、銀行から借りるか悩んでいたので、みんなでそれについて相談していたのである。

今考えるとそのような問題は5秒で結論が出るような問題なのだが、学生時代というのはみんなでああでもないこうでもないと、議論のために議論するようなことがよくある。

このときもそうで、夜遅くまで延々とそれについて話し合っていた。

翌朝、大富豪は私たちが夜遅くまで起きていたことを知っていたようで、みんなで一体何をしていたのかと私たちに聞いてきたのであった。

私たちは正直にその内容を伝えた。そのとき大富豪はびっくりしたような表情でこう言った。

「君たちはそんなつまらない問題で貴重な睡眠時間を無駄にしたのか」

この言葉の意味は今なら良く分かるのだが、当時はよくわからなかった。

女の子の悩みを解決するために何時間もみんなで相談に乗ってあげることがそんなに無駄なことであるとは思わなかったのだ。

しかし、結果的に私たちの夜遅くまでの議論で、彼女の悩みが解決できたわけではなかったのであって、その意味で無駄であったことは確かだった。

お金の問題はお金でしか解決がつかない。そこに時間をさらにつぎ込むということは、それこそ無駄なのである。

また時間というものがお金よりももっと大切なものであるということを大富豪は教えてくれた。

「時は金なり」ではなく「時は命なり」であると。

学生時代は時間を無為無駄に過ごす可能性が最もある時期である。

しかし、私たちにとって時間とは残された命そのものであって、時間を無駄にしているということは、自分の命を無駄にしていることに等しい。

このような観点から自分の学生時代の時間の使い方を考えたことはなかったのである。


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