上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
24歳で学校を卒業し、28歳で就職が決まるまで、ほとんど休むことなく働き続けたが、ここにきてようやく2週間ほどの休暇を得ることができた。

古い書物や荷物を整理していた時に、古いノートがたくさん出てきた。

自分で学生時代に書き続けた日記や学んだこと記したノート。読書録や大学院時代の研究に使ったたくさんのノートだ。

その中に、懐かしい匂いのするボロボロのノートがあった。

私の高校時代の親友が私に託したノートだった。あまりの忙しさと、目まぐるしさに、あの時から一度も見ることのなかったノートだ。

あの時。

このノートの持ち主であった親友は、数年前に事故で亡くなっていた。

事故で亡くなる数日前に、彼は突然私に連絡してきて、会うことになり、二人でカラオケボックスに行った。何年も何年も会っていなかったが、まったく昔と変わりない。

カラオケボックスに行ったのに、一曲も歌を歌うことなく、ただただ話し続けた。

彼はこれまでの数年間で迷惑をかけた人々への謝罪の気持ちや後悔の思い、そして自分の犯した罪を洗いざらい私にぶちまけて、「誰にも話していなかったことだが、お前だけは知っておいて欲しい」と最後に付け加えた。

その時に私に一冊のノートを託したのだった。

彼がこれまで生きてきた中で、考えてきたことや心の糧にしてきた言葉がたくさん書かれていた。

なぜ彼は私にこのノートを託したのか、それは今でもよくわからない。

カラオケボックスを出て、しばらくは車でぐるぐるととりとめもないドライブをして、私の住むアパートの前についた時には午前2時を過ぎていた。

彼の最後の言葉は全く記憶にない。

それだけ日常的な会話の中で、永遠の別れを告げたのだ。現実を見れば、人と人との別れなんて、ほとんどがそのようなものなのだろう。

アパートの部屋に戻った私は、そのノートを見ることはなかった。

彼の事故死を知った時も。

それから3年が経った。私がこれから若い世代の学生たちと向き合わなければならない時に、このノートが再び私の手の中に現れたわけだ。

そのページをめくることに何か意味があるかもしれない。

この時はそう思って、ある夜、一人で静かにそのノートを開いてみることにしたのだ。



関連記事
スポンサーサイト
Secret

TrackBackURL
→http://wakakihibi.blog62.fc2.com/tb.php/219-3594896c
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。